「はぁ〜・・・つまんなぃぃぃ・・・」
国立病院東病棟5階8号個室。
そこには少女の叫びとピッピッという機械的な音だけが響いていた。
+最後のお願い+
少女、というのはの事。中学3年生の受験生。
彼女は生まれつき病気を持っていた。それも、かなり重たい病気で。
1度手術はしたものの、それで治り切った訳では無かったらしい。
ちょっと風邪をこじらせただけなのに、彼女は呆気なく病院送りとなってしまった。
そして・・彼女の生活は一変してしまった。
腕も足も点滴に繋がれた、やりたい事も自由に出来ない入院生活。
勿論、友達は皆1日中やっているであろう受験勉強なんて、1日に3時間でも出来れば良い方。
ましてや『恋愛』なんて好きな人に会う事すら出来ないのだから、しようもない。
「いくら片思いとはいえさぁ・・コレはイジメ〜?!」
の叫びは、ゆっくり響いて消えてゆく。
「うぅ〜・・・会いたいよ〜・・・・・・」
の声は最終的に涙声となった。
、というのがの好きな人で、苗字は。
野球部に所属するレギュラーで、今はこれで最後となる『総合体育大会』に向けての練習が始まっている。
「今頃・・部活の真っ最中なんだろうなぁ・・」
入院してからちゃんは独り言が多くなった、との担当の看護婦も言っていたが、
今までは心の中だけで言っていた言葉も、普通に口から出てしまう。
「・・・・メールきてるかなぁ・・・・」
みんな部活か勉強かぁ、なんて呟きながらベッド脇に備え付けられたパソコンの電源を入れる。
「おっっ!!メールきてるじゃん!!」
嬉しそうに顔中で笑う。
「ぉ、 美佳子からだぁ・・」
美佳子、というのはのクラスメイトで大親友。
「・・・・・」
、絶句。その内容は。
『ちょっと聞いて!!あたし謙哉に告白したんだけど・・OKされちゃったぁ♪♪』
・・・返信する気も失せるって、このメール。
別に、親友が幸せになったのが嫌な訳じゃない。むしろ、すっごぃ嬉しいよ。
だけど・・
私は病院に縛り付けられて、に会う事すら出来ないのに・・
あぁ、私もこんな事思う様になっちゃうなんて・・・性格悪い。
『良かったねッ おめでとぉ♪
私も嬉しいよ!!』
せめて、ディスプレイには私のこの嫌な感情が、表示されませんように。
+
「ちゃん、具合どう?」
私の血液を摂取しながら看護婦さんが聞く。
綺麗な茶髪を2つに結ってる美人さん。この人が私の担当の看護婦さん。
「大丈夫ですよ?最近は発作も起きないし・・」
「そっか。それは良かった」
ニコッと微笑む看護婦さん。すっごぃ綺麗。女の私も惚れ惚れしちゃう位。
「じゃ、薬ココに置いてくからね」
ベッド脇の小机に薬の入った袋を置いて、看護婦さんは出て行った。
個室・・つまんない。なんで個室なのさ!!
お父さんは単身赴任だから滅多に面会に来ないし、お母さんも面会時間にしか会えない。
・・・つまんない。
入院なんて慣れてる、と思ってた。だって、物心ついた時にはもう入院生活してたから。
でも。
大好きな人に会えないのがこんなに辛いなんて思ってなかったよ。
「会いたいよぉ・・・・・・」
ぽつん、と声になった私の気持ち。
ねぇ、好きな人に会いたいっていうのは・・・高望みなのですか・・・?
+
「えっと・・さん、さん・・・えっと、東病棟5階の8号個室です」
「ありがとうございます。・・ホラ行くぞ」
時、同じくして。
国立病院ロビーは、面会人で賑わっていた。
あちこちのエレベーターやエスカレーターには人ごみ。まぁ、東西南北4つも病棟があるのだから仕方ない。
「ぁ〜・・どっちに行けばいいんだ・・?」
大きめの鞄を片手に呟くこの男、実はの面会人だったりする。
「・・・」
その問いに答えられない学ランの男の子、コイツもの面会人だったりする。
そして・・
「あら伊藤先生!!来て下さったんですね!!」
花を持ったこの女の人は、の母親だったりする。
「わざわざ遠い所まですみません・・」
頭を下げるの母親。大きめの鞄を片手に持った男―伊藤はの担任なのだ。
「いいえ、それでは行きましょうか?」
「えぇ」
歩いていく伊藤との母親。その後ろから学ランの少年が歩いていく。
実はこの少年、の想い人―だったりする。
+
「?入るわよ〜」
「お母さん?」
国立病院東病棟5階8号個室。はゆっくりと体を起こした。
「ぁ、ガーベラ?」
「そう。綺麗でしょう?」
が母親の持った花束を見て嬉しそうに声を上げる。
「このミニバラと取り替えようと思って・・」
そう言いながらの母はベット脇の小机に置かれた花瓶を持ち上げる。
「でね・・、お花少し遅くなっちゃうと思うの」
「え?どうして?」
が不思議そうに首を傾げると同時に。
「久しぶりさん。気分はどうだい?」
「伊藤先生?!」
入室検査を終えた伊藤が病室に入って来た。
「先生にね、病状とかお話しなくちゃな・・と思って」
病状、と聞いての表情が曇る。前にも同じ様な事があったのだ。
それは小学三年の時だったか。が初めて手術をした年である。
入院中に担任であった梶が面会に来、その次の週には命の危険性のある手術を行ったのだ。
どうせ今回も、私の命が危険なんでしょう?と、は開き直っていた。
「ほら、入院すると長期欠席になっちゃうじゃない?だから・・」
「うん、わかってる」
母親の言葉を途中で遮り、はベッドに倒れ込む。
黙り込む伊藤。教え子に、どう声をかければいいのか分からない。
「じゃ、じゃぁ行きましょうか伊藤先生?」 「え、あぁ、はい・・」
花瓶と花束を持って母は足早に病室を出る。伊藤もつられて外に出た。
「・・ごめんね、」と、の母は呟いた。
と、そこに。
「ぁあ。今終わったか」 「・・はい」
入室検査を終えたが病室の前にやって来た。
「・・さんが中にいるから、俺達が帰るまで中に居てやってくれ。」
「・・君、お願いしますね」
ぺこり、と頭を下げるの母親と、伊藤の言葉に後押しされてか、は何も言わずに病室に入っていった。
+
「・・・・・え?」
驚いてそれしか口に出せなかった。だって、入って来た人がだったから・・・
ちょっと待って。正直な感想がそれだった。
「・・・」
は黙ってベッド脇のイスに座った。そのままぐるっと病室全体を見回して、「何もねーな」と呟いた。
・・・ていうか部活は?部活休みだとしても受験勉強は?
その前に何でこんな所にいんの・・?学校から結構遠いんだけど此処・・電車で40分はかかるんだけど・・?
「あ・・の、?」
「・・あ?」
「・・・・・その、何で此処に・・・?」
失礼な質問かもしれない。でも、私の頭はそんな事考えてる余裕なんてなかった。
「・・・クラスの代表」
「・・は?」
「・・に・・なった」
クラスの代表・・お見舞いの、って事かな?
「そう・・なんだ」
どう返していいのか分からず、私は黙り込んでしまった。
「・・・・・」
も、何も言わない。
沈黙が続いて。・・・私、沈黙って苦手なんだけどな・・・
「あの、こんな所まで来てくれてありがとう」
やっぱ自分で沈黙破んないと駄目だなって思って。
「・・別に・・」
彼の返事は、やっぱり素っ気なかった。・・・で、また沈黙。
「あ、の・・今授業何やってるの?」
「・・・・・枕草子?」
な、何で疑問系?そりゃ、授業中によく寝てたけど・・
「その、ノート・・とかってある?」
別に見せてもらえなくても大丈夫なんだけど・・ この雰囲気はどうにかしなきゃって思って・・
「・・・ねェ」
「はっ?」
返ってきた返事は思いもよらぬ言葉で。
「な、無いって・・どういう事?」
「・・ん」
私の手にの鞄が押し付けられて。中身見ろ・・って事?
「・・・・」
鞄を開けたは呆れた。中には野球道具しか入ってなかったのだ。
―らしいなぁ・・・―
自然と笑みが零れる。此処最近は見れる事が出来なかったの笑顔。
「・・・するか?」
は手を伸ばし、鞄を探って野球ボールを取り出した。片手で弄びながら、ソッポを向いて聞く。
「え?」
「キャッチ・・ボール」
何を言えば彼女が喜ぶかなんて分かんねー。つーか知らねー。
でも・・俺のこの言葉には喜んだ・・と思う。・・・・別に自惚れしてる訳じゃねーけど・・。
「あ・・の、上手いねっ」
点滴とかゆーのが刺さった手でボールを投げながらが言う。
・・・たりめーだろ。これでも野球部なんだよ・・
・・自惚れしてる訳じゃねーけど・・こん時の顔赤かった・・と思う。
「・・つーかお前」
「ん?」
「・・・・早く治れ」
・・俺にしては上出来だ。今思ってる事のうちとりあえず半分は伝えた。
「あ、ありがとう・・」
ボール持ったまま固まってる。つーか早く投げろ。言った方が恥ずかしーんだよ・・
「?」
「・・あ?」
今度はから沈黙を破る。
「総合体育大会・・頑張ってね?」
「・・・おぅ」
あー・・さっきのコイツの気持ち分かったかもしんねー。
言われた方も恥ずかしーな・・
+
この一件があってから二人の仲はかなり親密になった。
恋人になれた、とかそういうのではないのだけれど。
でも。はよくの所へお見舞いに来る様になった。それも、伊藤抜きで。
付き合ってる訳でもない。でも、クラスの代表でもない。
ただ、の姿が確認したくて。忙しい部活の合間をぬっては病院に足を運んだ。
何を話す訳でもなく、ただキャッチボールをしにくる俺を、は変な風に思っているかもしれない。
そう思っても、部活の帰り駅へ向かってしまう足を止める事は出来なかった。
そんなある日。
「あぁ、さんですか?今日は面会できませんよ?」
いつもの様に見舞いに来たの足は、の病室の前で止まってしまった。
病室の扉に貼られた『面会を御遠慮下さい』の文字。は戸惑い、傍を通った茶髪の看護婦に尋ねた。
返ってきた返事がこれである。
「あなた、君でしょう?」
何と返事をすれば良いのか分からず黙っていたに、看護婦は微笑みかけながら言った。
「・・そうですけど・・」 「あ、やっぱりね!」
茶髪の看護婦は嬉しそうに笑った。二つ結いの髪が揺れる。
「私ね、ちゃんを担当してる看護婦なの。君、毎日お見舞いに来てくれてたでしょう?」
手に持ったカルテを落ちない様に持ち直しながら看護婦は微笑む。
「ちゃんすっごく喜んでたのよ。体調もすごく良くなって・・だから平気だと思ってたんだけどね・・」
寂しそうに微笑む看護婦。は少し考えてから聞く。
「・・は・・どーしたんスか・・?」
「ちゃんはね・・ちょっと体調を崩しちゃって・・今ちょっと集中治療中なの」
集中治療・・
その言葉の響きがに重く圧し掛かった。
また来てね、と言い残して看護婦は去っていった。
・・は、その場から動く事が出来なかった。
+
面会が出来なくなってから数日経ったある日。
は理科室で化学実験の授業を受けていた。
「きゃーっ!!」 「ちょっ やだぁ〜」 「うぅわ汚ねぇ!!」
毎回の事ながら、クラスメイト達ははしゃぎ、騒いでいた。
はつまらなそうに手に持ったシャープペンシルをクルクルと弄んでいた。
・・面会が出来なくなってからというもの、何度病院へ行ってもに会う事は出来なかった。
―・・・大丈夫なのかよ・・アイツ・・・―
放課後の部活が終われば病院に行けるとはいえ、今この瞬間のの容態が気になって、授業なんて身が入らなかった。
そんな時だった。
『授業中失礼致します・・伊藤先生・・伊藤先生・・緊急のお電話が入っております・・』
理科室の奥にある古ぼけたスピーカーから、何だか切羽詰った様な感じの事務員の声が聞こえてきたのだ。
は弾かれた様に立ち上がった。
・・嫌な、胸騒ぎがする。
「?!」 「え、どうしたの?!」 「ちょ、何処行くんだよ?!」
理科の先生が止める声にも、クラスの奴等の声にも振り向きをせず。
理由も分からず、はただただ走っていた・・
+
「!!!」
バタン!!と大きく音をたてて扉が開いた。
国立病院集中治療室。中には忙しく動き回る看護婦に医師、
そして目を真っ赤に泣き腫らしたの母親の姿があった。
「君?!」
この前少しだけ話した茶髪の看護婦が驚いた様に声をあげる。
その看護婦の手元にはの顔があった。
色んなチューブやら何やらに繋がれて、ベッドに横たわってる。
「・・君、何型だっけ?血液型・・」
茶髪の看護婦が手の動きを止めずに言う。
「え・・A型・・ですけど・・」
気のせいだろうか。その時、は場の雰囲気が変わった様に感じた。
「・・摂取を・・?」 「あぁ・・もしかしたら、の可能性もあるかもしれない・・」
真剣な表情で医師と話した茶髪の看護婦がゆっくりとに近寄った。
「実は・・ちゃんの血液はとても珍しい特殊型なの」
そういえば、の血液型を聞いた事はなかった気がする。
「それで・・今、A型の血液が必要なの。・・協力してくれるかしら?ちゃんにはまだ、命があるから・・」
淡々と語る看護婦。お願いします、の母親も頭を下げる。
「・・・」
無言で頷く。
看護婦はその場での血液を摂取し、治療室を出て行った。
「ん?どうしたのちゃん?」
その時だった。がうっすらと目を開け、何か話そうとしたのだ。
「ちょっと待ってね・・よいしょ」
看護婦が酸素マスクをはずす。は苦しそうに数回息を吸った後、か細い声で言った。
「わ・・たし・・・・にっ・・話さなきゃ・・いけないっ・・事があ・・るの・・」
切れ切れにそう言うの言葉に、医師が言った。
「私達は席を外しましょう。・・ちゃんの願い・・だからね」
+
看護婦や医師などの居なくなった二人きりの治療室。
近くでみるは、痛々しい位だった。
前よりもはるかに青白い頬。絶え間なく聞こえる機械的なピッピッという音も、前よりも何だか響いて聞こえる。
苦しそうに呼吸するも、何もかも。
全て、目の前の出来事とは思えなかった。
「あ・・のね・・」
苦しそうにが口を開く。
「迷惑・・かけ・・てっ・・ごめん・・ね・・」
「・・迷惑・・?」
・・んだよソレ。何・・言ってんだよコイツ。
「わた・・しね・・が・・ね・・お見舞い来て・・くれ・・た時ね・・す・・ごく、嬉しかったんだよ・・」
嫌われてると思ってたから・・だって、私に迷惑ばっかりかけてたんだもん。
私が傍にいるだけで冷やかし受けたよね。
私、無駄に電話かけすぎたよね。
バレンタインのチョコレートだって、無理矢理押し付けちゃったしね・・
それに・・ここだけの話、私の事ストーカーみたいだって思った事あるでしょ?
・・これ、全部謝らなきゃいけないのに。
これ以外にも、謝らなきゃいけない事たくさんあるのに・・
どうしてかな。私の体、言う事聞かないの。
「嬉しくて・・うれ・・しくてね・・泣きたく・・なる位・・だった・・んだよ・・?」
なんか、目尻が熱い・・ 涙、かな?
やだなぁ・・こんな時に泣いちゃうなんて・・余計体力減っちゃうよ・・
「で・・も・・にとっ・・ては・・迷惑・・だっ・・たでしょ・・?」
がクラスの代表になったのは、多分美佳子とかそこら辺の私の友達のせい。
が進んで代表なんかになる訳ない。・・迷惑なだけだったに決まってる。
「それに・・まぃ・・にち来て・・くれ・・て」
本当に嬉しかったんだよ?・・言葉じゃ言い表せない位に。
「・・・泣くな」
の目から零れ落ちた涙をがぐぃっと拭った。
野球選手、という感じのゴツゴツした大きな手で、不器用ながらに優しく。
「・・・迷惑なんて・・思った事ねェ」
ボソッと呟いて、ソッポを向く。
こんな時でも、照れ屋なのは相変わらず。
の顔は林檎よりも真っ赤で、今にも爆発しそうだった。
どうすればいいのかなんて分からなくて。でも、その綺麗な瞳から零れる雫だけは俺が拭ってやりたい。
「あの・・此処まで幸せに・・してもらった・・のに・・」
がゆっくりと切り出す。がゆっくり振り向く。
「欲張り・・だ・・けど・・サイゴにもう1つ・・お願いを・・聞いて・・くれま・・せんか?」
そこには、涙の滲ませ微笑む、の姿があった。
「・・手を・・握って・・て・・欲しいの・・・」
青白い頬に少しだけ赤みが差して。ね、お願い・・とが囁く。
自分の手とははるかに違う白くて小さな手を、がそっと、壊さぬ様に包み込む。
「・・ありがとう」
嬉しそうに微笑む。いい夢見れそう、と小さく呟く。
最後だから。
最期だから。
言いたい事は、全て言って終わりたい。
そして『いい夢』を見よう。
の唇が、そっと動く。
「わ・・たし・・と一緒に居・・ら・・れて・・すっご・・く・・幸せだったよ・・」
ゆっくり、の頬を涙が伝う。
「もち・・ろん・・今も・・ キャッチ・・ボー・・ル・・してる・・時も・・ ずっと・・今まで・・」
ギュッ・・と、の手に力が入る。
「・・そして・・これからも・・私は幸せだよ・・? だか・・ら、も・・幸せに・・なってね・・?」
約束、と呟く。繋がった二人の手に、ポタリと一粒の雫が落ちる。
・・それは、下唇を噛んで必死で声をあげない様にしているの落とした涙だった。
が震える唇を開く。・・自分自身が一番よく分かっている。
これが、最期の言葉だという事を。
「・・あのね・・私・・に逢えて・・ホントに・・」
向日葵の様な満面の笑顔に、煌めく雫を湛えて・・
「・・よかったです・・・ 本当に、ありがとう・・・」
ピ―――・・・・・・
一人の少女の終わりを告げる、硬く無機質な音が響く。
無機質な機械の、冷たい音・・・・・
その時、治療室の前にはの血液の検査結果の紙を握った茶髪の看護婦が立ち尽くしていた。
扉越しに聞こえる冷たい音。それは、可愛かった自分の患者の終わりを告げていた。
「・・間に合わなかったか・・」
そっと呟く医師。看護婦の指からスルリと検査結果が落ちる。
『先生!!君の血はちゃんを救えます!!』
『なに?!同型だったのか・・?!』
「ちゃんっ・・・」
泣き崩れる看護婦。その肩を、医師がそっと撫でた。
+
泣かねー・・って決めてたんだけどな。
ポタポタと、繋がれた俺等の手の甲に血が落ちる。
泣かねーように下唇噛んで我慢してたけど・・
・・いくら強くの手を握っても、もう温もりなんて無かった。
ひんやりと冷たいの手。・・・・んで俺・・・・コイツの為に泣いてんだよ?
「・・・バカみてぇ・・・」
本当俺バカみてーじゃん。・・・亡くしてから自分の気持ちに気付いてどーすんだよ・・
ドコにやれっつぅんだよ・・この想いは。
『だか・・ら、も・・幸せに・・なってね・・?』
・・・お前なしでどうやって幸せになれっつぅんだよ。
・・・・・俺をココまで惚れ込ませといて・・・・・
たまらなくなって抱き締めたの抜け殻は、困った様に笑っていた。
『やだ・・私がドコにいるか分からないの?』
その声は、俺の胸の辺りから聞こえた気がした。
俺の中にがいる。
―私、の心にいるんだよ?・・・遠くないでしょ?近すぎる位っ―
俺の中のは、健やかに、向日葵の様に笑っていた。
「・・・ぜってー離さねー・・・」
最期に俺に手ェ繋げって言ったのが悪ィんだからな。
最後まで責任持って・・俺の中にいろ。。
+end+
by Ayuna**
処女作です。はぃ・・駄文です・・・≪涙≫
私なりに感動的に書いてみたつもり・・だったのです。どうでしょうか?
ていうか処女作にヒロイン死ネタはないですよね・・私やっぱり変わってる≪汗≫
ていうかこんな病気あるんだろうか・・?
とりあえずさん、読んでくれてありがとうございます♪
感想やご意見もらえると嬉しいです☆