っ!!今日のお弁当、自信作なんだけど!!」

「・・ん?あぁ、じゃー屋上行くか」

「うんっ!!」

 

 

01 ほっぺ 

 

 

いい天気。お母さんだったら、『お洗濯日和ね』とか言いそうな暖かい日のお昼休み。

いつもは教室とかで食べるんだけど、今日は屋上。理由?・・それは、今日のお弁当が自信作だから。

いつからかは忘れたけど、お弁当が自信作の時は屋上で食べるのが私達の日課。

だから、天気のいい日はお弁当を作るのも気合が入る。

「えっと、今日はね、唐揚げでしょ、野菜の肉巻きでしょ、ミニトマトでしょ、それからね・・」

陽のあたる明るい場所を探して歩きながら私はお弁当の中身を思い出していた。

「それからね、昨日の夜作ったオレンジのゼリーも入ってるの!!あとね、鮭のおにぎりとね、んっ?」

が『ココにしよ』とでも言いたげに私の制服を引っ張った。ソコに腰を下ろして、お弁当箱を開ける。

「おぉー・・」

が声をあげた。そう、今日のお弁当はホントに『自信作』なんだから!もう豪華絢爛、すごいでしょ?って感じのお弁当なんだから!

「ね、すごいでしょ?ホントに今日は自信作なの!!」

「おー」

ちょっと口数の少ないだけど、驚いてるのがすごくよく分かる。でもって、私を見つめてくるその目は、『早く食いてぇ』って言ってる。

「ちょっと待ってね、箸出すから・・はいっ」

青い箸箱をに渡して、お弁当を食べるを見つめる。『いただきます』って頭下げて、は唐揚げを口に入れた。

「どぉ?美味しい?」

「・・ん。うめぇ」

「ホント?!」

がすごい勢いで食べるから、どんどん少なくなってくお弁当。私もそろそろ食べようかなって、とお揃いのピンクの箸箱を探す。

「・・・・??あ、れれ・・・・?」

ない。

 

 

ないないない。

 

 

ないないないないなぁ〜い!!

 

 

な、なんで?!入れたハズなのに!!

とお揃いのピンクの箸箱は、ドコにもなかった。入れたハズ・・なのに・・。

「どーした?」

が不思議そうに私を覗き込む。どうしよう・・言うべき、だよねぇ?

「・・箸、忘れちゃった・・・」

言った後、すごく恥ずかしくなった。だって・・だって今日の朝急いでたんだもん!!超豪華弁当作ってたら時間無くなっちゃったんだもん!!

・・いいお天気のせいだもん。・・・・はぁ。

「・・どーすんの?」

一人で落ち込んでる私に、が聞く。・・どうしよう?今日に限って、爪楊枝を使った料理はない。

「・・どーしよう」

もう私はほとんど涙目。・・お腹空いたよぅ・・・。

「・・・・・・・」

はしばらく私を見てから・・持ってた箸を見て、ニヤッと笑った。

「・・どしたの?」

ちょっと嫌な予感が・・するのは私だけ?

「・・・口開けろ」

唐揚げを箸で挟んで私に言う。・・もっ、もしかして・・?

「や・・やだ・・」

「・・コレ以外方法ねぇだろ?」

悪戯っぽい顔で私を見つめる。・・ひどぃぃぃ・・私が恥ずかしがり屋なの知ってるクセに・・っ!!

「・・食わねェの?」

な、何なのよその切なげな目は・・・。・・・・・うぅ・・・・・。この目に私は弱いんです・・・。

「た、食べる・・・けど」

その箸貸してよ、って頼んでみるけど。

「・・食わせてやるって。口開けろよ」

「やっ・・遠慮しとくっ!!」

「・・遠慮すんなって」

・・・・うぅ・・・・。

負けたわ。お腹空いてもうだめ。・・従います。

「・・よしよし、いいコいいコ」

ふざけた様に私の頭を撫でてから、小さく開けた私の口に唐揚げを入れる。

「・・お前真っ赤」

可笑しそうに笑う。ほっぺが熱くて、顔から火が出そうな位恥ずかしかった。

「ほら、次コレな」

楽しそうにどんどん箸に食べ物を挟んでく。・・なんか、恥ずかしいけどちょっと嬉しかった・・

 

 

「・・ほら、コレで最後だよ」

小さな容器に入ったオレンジゼリーを摘み上げてが言う。一口サイズのオレンジゼリー。

「え、それなら箸使わなくても食べれるよ・・?」

「いーから口開けろって」

え・・ちょっと、もうやだ!!これ以上はホントに無理だってばぁ!!

 

 

 

・・とか思いつつ、やっぱりに従ってる私。何でだろ?惚れた弱み?・・ていうかこの言葉、男のコが使う言葉じゃない・・?

「ホラ」

口の中にオレンジの甘酸っぱい爽やかな味が広がる。我ながら、イイ出来だと思う。

「・・うまいか?」

「うん美味しい!っていうか、もう1コ入ってるよ?」

もう1つの容器を指差して言って。はそれをぱくっと口に入れた。

「美味しい?」

「・・ん、うめぇ。つーか、もう1コ食いてぇ」

やだ、変な所で子供っぽいんだから・・。可愛いッ!!

「やだ可愛いッ!!」

「るせーよっ」

「また今度作ってあげるからね、我慢してね?」

小さいコをなだめるように言ってみたら、は真っ赤になって顔を背けちゃった。ほっぺを指で突付いて笑ってやる。

のほっぺまっかっか〜」

「・・るせー黙れ!」

もう、さっきまでの余裕・・かな?・・は、ドコにいっちゃったんだか。

 

 

・・そんなコト考えてた私。でも、

 

 

 

「・・しょーがねーから今はコレで我慢してやるよ」

「んっ?!」

 

 

 

 

オレンジゼリーよりも甘美なキス。

 

やっぱり、の方が上手でした。

 

 

 

 

「お前だって顔真っ赤だぞ?」

得意そうな笑みを浮かべてそう言う。私がさっきやったように、指でほっぺを突付きながら。

「・・バカッ!!誰のせいだと思ってるのよぅ!!」

「さぁな」

 

 

 

私のほっぺが赤くなるのはいつだって、アナタのせいなんだよ?

 

 

 

 

 

* end *  『甘甘10title 01 ほっぺ』

 

 

 

by Ayuna**

えっと・・初☆お題です。『01 ほっぺ』というコトでしたが、いかがでしょうか?
ほっぺ、って感じが最後位にしかしない・・っていうのが心残りです≪汗≫

私的にはもっと甘くしたかったんですが・・どうも文才が足りない≪苦笑≫
こんな駄文ですが、よかったら感想など下さいね♪