「ねっ?お願いしますッ!!!」
「・・・・・・・・」
02 上目づかい
コイツの上目づかいは厄介だ。コイツに上目づかいで何か頼まれたら・・・俺は断れねぇ。
で、今。
俺の目の前には俺の学ラン掴んで、上目づかいで頼み事をしてるがいる。
「・・・・・」
どーすればいいんだ?・・断れたためしもねぇし。・・それに、断ったらコイツ・・・可哀相だし。
「・・わかった」
「ホントッ?!やったぁ!!」
嬉しそうに飛び上がって笑ってる。・・・惚れた弱みだな・・はぁ。
「じゃぁ、放課後ね!!!!!」
遠くの方で鳴った鐘に、は手を振りながら走っていった。つーか俺も走んなきゃやべぇじゃん!!
「っ!!」
今日は久しぶりにがあたしの家に来ます!!
理由は簡単!見たいホラー番組を録画したんだけど、自分一人じゃ恐くて見れなくて・・ぁ、あはは・・。
お父さんとお母さんは旅行中だし・・・。
と、いう訳でと一緒に見るコトになりましたぁ!・・ていうか、半強制的に、ね。
「、何買ってく?」
「・・・コレは?」
駅前のコンビニでテレビを見ながら食べるお菓子を買って、電車に乗る。
隣に座って、頭を肩にもたせ掛ける。そっとの顔を覗き込むと、は頬をちょっと赤らめた。
『いやぁぁぁ!!』
「ヒィィィ!!」
「・・・」
・・特に恐くない、と思うのは俺だけなのか?
は俺の隣で片手でクッションを抱き締め、片手で俺の右手を握り締めながら震えた声を上げてる。
恐いからという理由で電気はついたまま、俺等の足元には色とりどりのビデオテープが散らばっている。
『呪ッテヤルー!!』
キメ台詞?を吐いて、ビデオが止まった。
「うぅ〜・・やっと終わった・・・・」
が俺の腕を握り締めたまま、ビデオを取り出す。さっきまでホラーが映っていたテレビに、ニュースのキャスターが映った。
「、一緒に見てくれてありがとね」
うっすらと涙の痕が残る笑顔を向けて、は礼を言った。
でも・・腕を放そうとはしない。
「・・俺そろそろ帰」 「やだダメッ!!」
大きな声で俺の言葉を遮って、は怒ったように俺を見上げた。
「やだよぉッ お母さん達今日旅行なんだよ?!おばけが来たらどうするの?!あたし呪われちゃうよぉっ」
ソレでいいの?!とか責め立てながら、は涙目で訴えた。
「いや、俺泊まるとか言ってきてねぇし・・」
なだめるようにの頭を撫でたけど、はガキみたいに「やだぁ〜〜・・」とか言ってる・・。
「ね、・・お願い」
・・・・・。
・・・・・んで、上目づかいなんだよ・・・・・
・・・・・。
「・・わかったから・・。親に電話してくる・・」
「ホント?!ありがとっ!!!」
俺は負けた。・・コイツに勝てる訳ないんだよな、うん。諦めろクン。
こうやって満面の笑みを向けてくれるんだから・・いいだろ、な?
・・・・・惚れた弱みだ。
『えぇ〜・・分かったけど・・ちゃんに変なコトするんじゃないわよ?』
に片腕を塞がれたまま、俺は母親に電話した。
変なコトするな・・か。無理難題を押し付けやがって・・。
「っ、恐いからお母さん達の部屋で一緒に寝よ?」
ダブルベッドだから、とまた上目づかいで頼んでくる彼女を見た瞬間、俺は感じた。
ごめん母さん、俺、手ぇ出さない自信ない。
* end * 『甘甘10title 02 上目づかい』
by Ayuna**
『02 上目づかい』でしたぁっ!
今回は最初から最後まで『上目づかい』で染めてみたつもりなのですが、どうでしょう??
ホラーが苦手なのに見たいんだぁ!!っていうのは管理人の性格です≪汗≫
ソレに付き合ってくれるクン・・いい人です☆今回初めてヒロインの一人称が『あたし』になりました。
私、だとなんだかキャラが違っちゃったので・・。
今度は『うち』とかにも挑戦してみたいな〜と思います♪あと、ヒーローが『僕』とか。≪爆≫それでは、感想お待ちしています♪