「・・・、保健室行きなさい」
「・・・いえ・・・だい・・じょーぶです・・・」
04 抱っこ
うぅー・・・身体がだるい・・。
昨日無理するんじゃなかった。これは多分38度くらいある・・と思う・・。
保健室で寝たら楽になるんだろうな・・。でもでもっ、受験近いし、そんなコトしたら確実にあんな頭いい高校行けないし!
先程から身体のだるさと頭の痛みとお腹の痛みと・・・つまり、高めの熱と戦っているあたし。
保健室に行けたら楽だろうけど・・受験生のあたしにはそんなコトしてる暇なんてない。
あたしの目指す高校は、県内でもずば抜けて偏差値が高い。
特に成績がいい訳でもないあたしがそんな高校を目指すのには理由があって。
それは・・その、好きな人がその高校に行くからっていう、ただそれだけの理由なんだけど。
その好きな人―は部活での推薦でもう合格しちゃってる。
つまり、あたしはとにかく勉強しまくって合格しないと、もうと一緒にいられなくなっちゃうってコト。
そんなのイヤ。
だから・・・ちょっとくらいの熱は我慢しなくちゃ!!
気を取り直してシャーペンを握り直す。
黒板に書かれた文字がぼやけて見える。先生の話す声も何だか遠くに聞こえる・・・。
「・・おい、お前ホントに平気かよ」
「うんー・・全然だいじょーぶぅー・・」
ふらぁ〜っと声の方向を見ると、ソコには心配そうな顔をしたがあたしを覗き込んでいた。
あー・・そういえば隣なんだよね・・・・。ちゃんとー・・授業受けなきゃなぁ・・・。
もう一度黒板に目を移す。
なんか・・さっきより文字がぼやけて見える・・・。ていうか・・傾いてない・・この黒板・・・?
や、やだ・・そんな訳ないよね・・・・・・?
ぐらっ
「?!」
の腕に抱きとめられるあたし。
情けない・・あたしの身体は限界を訴え続けた末、隣の席の男子―つまりの方に向かって倒れ込んだ。
「・・、お願いだから保健室に行ってくれ・・」
先生が困ったように溜息を吐く。
勝手なコト言わないでよぉ・・・。あたしは勉強しなきゃいけないんだからぁ・・・。
「・・先生、俺がを保健室まで連れてきます」
「お、そうか。頼むぞ」
と先生の声が聞こえたな・・と頭の片隅でぼんやりと思った、その瞬間。
あたしの身体は椅子から離れていた。
「やだー!!!とってそういう関係?!」
「うっそぉー・・オレのコト密かに好きだったのに・・涼くんショックー・・」
「やっだぁ〜!!見せ付けちゃってったら!」
「ひゅーひゅー!!やってくれるじゃねーか!」
クラス中が騒いで、はやしたてる声が聞こえる。
・・・どうしたのみんなー?って感じのあたしは自分の置かれてる状況がよく分かんなかった。
「・・涼、そんなにが好きならのために綺麗にノートとっとけ」
「え、えー・・?」
「・・頑張れよ。・・・、落ちんなよ」
落ちんなよ・・?落ちるって、ドコから・・?
・・・ん?
・・・んんん?
も、もしかしてあたしに抱っこされてる・・・・?
しかも、これってお姫さま抱っこ・・・・・・・・・・?
が走り出す。頬に当たるひんやりとした風が気持ちイイ。
・・・って、な、なんであたしがに・・・・?
「・・重くない・・?」
「いや、俺男だし。・・お前もっとちゃんと食った方がいいぞ」
「もう、どうしてこんなになるまで来なかったのよ・・くんありがとね」
保健室に着くと、保健の先生があたしを無理矢理ベッドに寝かせ、体温計を差し込んだ。
「・・ちゃんと寝ろよ」
そう言って出て行こうとするを、あたしは必死の思いで呼び止めた。
「・・あの、ありがと・・」
顔が真っ赤になったのが分かったけど、熱もあるし・・ごまかせるかな、なんて思ったり。
「・・早く治れよ」
そう言ってあたしの頭を撫でてくれる。・・多分2、3度熱が上がったと思う。
明日からまた頑張ろう・・。と同じ高校行くタメに。
あたしの身体にほんのりと残ったの温もりを感じながら、あたしは眠りについた。
* end * 『甘甘10title 03 ぬくもり』
by Ayuna**
今回は久々の中学生モノでしたー♪
なんだか凛檎の書く『片恋モノ』は現実味がないような気もしますが・・・
そこんところは気にしない☆自己満足なので・・≪汗≫最近は『超』のつくシリアスが恋しい?!です。
そろそろ執筆したいなー、と思います♪それでは、感想お待ちしています♪