のばか。・・折角の休みなのに・・・。
10 ちゅう
「・・・だからっ。αを代入して、βを出すんだってば。」
「・・・わかんねェ。」
・・・っ。何で分かんないのっ?!ついついそう言いたくなるのをグッと堪えてまた同じ説明を始める。
さっきから数学ばっかり。予定通りにいけば今日はデートだったのに・・・。
あたしは大きく溜息を吐いた。
この、あたしの部屋で数学を教えてもらってるバカ。
あたしの彼氏の、典型的な部活バカ。
部活から帰ったら即お風呂、その後テレビを見ながらご飯、就寝。
そんな生活を続けてきた彼の頭には『定期テスト』の「て」の字すらなくって。
しょうがないからあたしが勉強教えてあげてる。・・あたしだっていい方なんかじゃないんだけど。
まぁでも、一応予備校は行ってるし、テストの学年順位もちゃんと20位以内キープ中だから・・・教えるコトくらいできるんだ。
けどね。
「・・・わっかんねーよ。」
このバカ、あたしの説明で分かってくれない。
さっきからこの三問目で止まってる。・・・何時間この問題やってれば気がすむワケ?!ってくらい。
「なんで分かんないのバカッ!」
我慢できなくなってそう叫ぶ。があたしを睨んで、「悪かったなっ。」って言った。
辺り一面に広がるイヤーな雰囲気。はシャーペンを投げ出して姿勢を崩した。
「・・・どうすれば分かってくれるのよ・・・。」
小さく呟くあたし。そんなにあたしの教え方って分かりにくい?ちょっとヘコむんだけど・・・。
てゆーかヤル気ゼロな訳?!姿勢を崩したをちょっと恨めしく思う。
あたしがどれだけ今日のデート楽しみにしてたのか分かってないの?久しぶりに部活休みだったから、すっごく楽しみにしてたんだよ・・?
それなのに、さ。
一人で考え込んだあたしは瞳に涙が溜まりそうになって、慌てて下を向いた。
「・・・もう、ちゃんとやんないと部活停止になっちゃうよ?!ほらやろっ。」
赤ペンを持ち直してに言う。
さすがにこの言葉は効いたみたいで、はもう一度シャーペンを握ってくれた。
・・・でも。
「・・・こんなん、分かる奴の方がおかしいんじゃね?」
やっぱり分かんない様子の。「ヤル気失せるー。」って付け足して、あたしのベッドにダイブする。
「・・じゃぁ、おやつ食べてからもっかいやろ。」
あたしがそう言って部屋を出ようとした、その時。
「・・がちゅーしてくれたら頑張る。」
あたしの腕を掴んで、一言。あたしが固まってる間に、腕を引いてあたしをベッドに組み敷く。
「ちょっ・・だめっ!」
あたしの言葉なんて無視。のキスがあたしの唇に落ちてくる。
久しぶりに感じる彼の温もり。・・この行為を否定してたハズのあたしのカラダに、熱が広がっていく。
「・・今日のデートの埋め合わせ。」
長いキスの後、唇を離したがあたしの耳元で呟いた。
「・・あれ?もしかして不満?」
あたしの顔を覗き込んで悪戯っぽく笑う。
「っ、違うもんっ!はっ、早く勉強すればっ?!」
に枕ぶつけて、タオルケットを被って真っ赤になった顔を隠す。まだ唇に残ってる彼の温もりが、こんなにもあたしを熱くさせる。
「はいはい。」
ベッドから降りてまたシャーペンを手に取るをタオルケットの間から見つめる。
「・・やっぱりもう一回ちゅうして。」
か細い声で呟いたあたしを見て、はまた悪戯っぽく笑った。
* end * 『甘甘10title 10 ちゅう』
by Ayuna**
甘甘10title終わったーv
最近スランプ気味でちょっと微妙なお話になったような気がします…。しかも背景画像も使いまわし(汗。
まぁ、でも…気にしないで下さい☆(ムリ。それでは感想待ってますv