いや、そりゃね。

が、直哉と違って消極的・・っていうか、照れやすいっていうか、・・とにかく、奥手なのは分かるけど。

いくらなんでも、進展無さスギだってば!

 

 

 

06 体育館倉庫

 

 

 

「・・確かになぁ。」

うんうん、と直哉が頷く。さっすが直哉!分かってくれると思ってた!

「そ、・・そんなことないと思うっ。」

顔真っ赤にして、否定してくる。・・全く、もそんなんだから進展がないのよ。

それが分からないのかなあ、はっ!

「・・・・・。」

この話の一番の中心であるこの男(のことね。)は、黙ってコーヒー啜ってるし。

 

あたしの無二の親友・と、直哉の親友(なのかな?)である

五月の体育祭の日に付き合い始めてから、そろそろ一周年を迎えるこのカップル、

はまだまだ先だって言ってるけど。だってほら、あと二ヵ月くらいだよ?すぐだよね?)

 

 

なんと。

恐ろしいコトに。

キスすら、してないんだって!

 

 

ディープ、はともかく。(、下手そうだもんね。直哉はとろけちゃうくらい上手だけどっ!)

フレンチキスすらしてないって、・・あたし(と、直哉)からしたら、アリエナイわけで。

しかもっ、しかもっ!

抱き締めてもらうのも、一ヶ月に一回あればいい方で、

手を繋ぐのだって・・毎日一緒に帰ってるのに、繋ぐ日の方が珍しいんだって!

 

・・ありえないよね?

世間一般から見て、ありえないよね?

ありえないと思ってるの、あたしたちだけじゃないよね?

 

 

というワケで、そのことを昼休みに話してみたんだけど。

結果はさっきの通り。当の本人たちがあの調子じゃ、この先何十年、いや・・何億年待っても進展なんてないに決まってる!

だってとキスくらいしたいでしょ、うん。

女の子の夢だもんね、好きな男とキスしたり、その先いったり・・とかは、ね!

あたしはそう思う!・・いや、世界中の女の子がそう思ってるに違いないよね?

 

 

 

・・ってワケで。

これは好意なの。別にあたし、楽しんでるワケじゃないんだよ?

そう、手助けなの。楽しんでるのは直哉だけだよ?あたしは楽しんでないんだからね。

 

 

ガチャン、・・パチン。

 

あたしが鍵を閉めると同時に、直哉がパチンと電気を消した。

中から二人の声が聞こえてくるけど、とりあえず無視。

 

頑張って、・・もね!

本当は一部始終気になる所だけど、盗聴とかはしないから安心してね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・。」」

暗闇にも、目が慣れてきた。

マットの上に座って呆然とする私との間には、微妙に隙間があって。

・・ホントに、どうしよう。

 

しばらく待てば開くだろうと思っていた扉も、開く様子は全くない。

 

 

「・・・。」

諦めるしかないのかな。そう思うと、何だか情けなくなってきちゃう。

体操座りした自分の足を抱え込んで、溜め息一つ。

 

 

 

「・・ごめんな。」

 

ぽん、と堅い手を私の頭に乗せて、が呟いた。

「え、そんな、のせいじゃないってば!」

慌てて反論。だって、ホントにのせいじゃないし!

奈帆と城戸君のせいだよ、これは!あの二人がムダに盛ってるからこんなコトになっちゃっただけだよっ。

「アイツら、明日シメてやろーぜ。」

悪戯っぽく笑いながら、が指を鳴らす。

・・冗談なのか本気なのか、分かんないから恐いよ

 

「ほら。」

バサ、と頭の上からブレザーが落ちてくる。・・の匂い、だ。

「え?」

「それ着て寝ろ。」

「え、でもっ、」

、Yシャツ一枚じゃ寒いってば。

そう言おうとしたけど、は「もう遅いから。」って、私をマットに寝かせようとする。

 

「いっ、いいよ!私セーターも着てるし!」

「や、足出てるし。」

「でっ、でもが、」

「・・いーから。」

「や、でもっ!」

「・・・。」

ぐい、って。

ちょっとが力を入れるだけで、ひ弱な私の体なんて、簡単に押し倒されてしまう。

 

「・・・・っ?」

押さえ付けられた手首に伝わる体温。

目の前のと目を合わせられなくて視線を逸らせば、押さえ付けられた手首が視界に入ってきて。

 

 

 

 

す・・との手が私の手首を解放する。

そのままバサリ、とのブレザーがかけられて、私はきょとんとを見た。

 

「・・何もしねぇから。」

だから、さっさと寝ろ。

そう言うとは私に背を向けてしまった。

・・私が視線逸らしたから?少しずつ不安に飲み込まれてく心を隠すように、のブレザーを被る。

 

 

「今さ、直哉にメールいれたから。明日の朝直哉に鍵開けてもらって、部室でシャワー浴びて部活出よーぜ。」

 

パチン、と携帯を閉じる音。それから、私から少し離れた所に横になる。

・・もしかして、携帯開いた時明るくなっちゃうから・・?だから、背中で隠してくれたのかな。

・・なんて、私考えすぎかな。・・でも、そうだとしたら嬉しい、・・・・・・・・・・・・・・・・・・て、あ。

 

「・・、携帯持ってるの?」

「ん?あぁ。」

「・・電波、あるんだよね?」

「・・ん、ある。」

 

 

 

「・・誰かに電話、できる?」

 

 

「・・・・・あ。」

 

 

 

 

 

 

次の日。

奈帆と城戸君は、私とと、それから高橋先生に・・

こっぴどく叱られましたとさ。めでたしめでたし。

 

 

 

*情けねぇけど、これが俺なりの優しさ。   06 体育館倉庫*

 

 

 

by Ayuna**

久々更新です。お久しぶりです、あゆなです。

今回の話は最初から最後まで何だかグダグダな内容で・・(汗。
設定としては、
*三月の土曜日(次の日は日曜で、部活。
*部活後、夜の八時くらい(職員室・事務室にはまだ人がいる状態。
・・って感じでした(おい。

また、最後に二人が電話したのは高橋先生です。
二人が付き合っているのを知っていたのかどうかは謎です。←

そして背景の使いまわし・・。
電気は点いてない設定だったんですが、いいのが見付からなくてですね(殺。

あゆな的には、大好きな奈帆と直哉をいっぱい出せたのでけっこう満足しています(殺。

まぁ・・細かい設定に口を突っ込んではいけない作品です。
・・ゴメンナサイ(深々。

感想頂けたら嬉しいです♪